ここのところ、すっかり寒くなってきましたね。
猛暑が長引き、急な気温の低下によりからだが追いつかないという人も多いのではないでしょうか。
気温が下がるとともに、空気は乾燥してきます。リップクリームやハンドクリームが手放せない時期ですよね。
肌だけでなく、からだの内側も乾燥しやすい時期は、便の出が悪くなりやすい人もいるでしょう。
季節関係なく便秘に悩まされている人も多いですよね。
今回は、便についての話と、東洋医学の観点から便秘をタイプ別にみていきましょう。
便は何でできている?
便は食べたものだけでできていると思っていませんか?
もちろん食べたもののカスも含まれますが、それ以上に割合を占めるものがあります。
理想の便は、
約80%が水分(下痢だと90%、コロコロでも70%)
残り20%のうち、5%は食べかす、15%は腸内細菌や剥がれ落ちた腸の粘膜であるといわれています。
食べかすよりも腸内細菌や粘膜が多くを占めることがわかります。
つまり、食事のみならず腸内環境の状態や粘膜細胞が生まれ変われるかどうかなどもスムーズな排便に関係してくると考えられますね。
腸内環境を整える“腸活”について気になる方は、ぜひこちらのコラムもご覧ください▼
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便秘の定義
よく、「毎日便が出ないから便秘」だと思っている人がいますが、排便のペースについては明確に決まっていません。
たとえば2~3日に一度の排便でも、出すのが難しくなく、硬すぎず、スッキリ出るのなら便秘とはいえないと思います。
便秘かどうかのポイントは、
・排便頻度が低下していないか
・いきむ必要がないか
・硬すぎないか
・スッキリ出し切れるか
の4点で、半分以上『No』の回答が出た場合は便秘の可能性が高いと考えられます。
また、便秘の状態が3ヵ月以上続くと慢性便秘症といわれ、便秘症状はからだ・こころの健康にも影響し日常生活にも支障をきたすことが考えられます。
運動や水分補給が良いとよく言われますが、慢性化してしまうとそれだけでは対処できなくなってしまうのが現状です。
[参考] 便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症/日本消化管学会より

自律神経と便秘の関係
脳と腸はつながっている!?
“脳腸相関”という言葉を聞いたことがありますか?
脳と腸は直接管などでつながっているわけではありませんが、自律神経やホルモンを介して、双方向(脳⇔腸)のネットワークがあるといわれています。
たとえば、ストレスを感じるとお腹が痛くなる、なんて経験がある人もいるでしょう。
便秘が続くと気分が落ち込んでしまう、イライラしてしまうなんてこともあります。
どちらが先でも、脳と腸は互いに良い影響も悪い影響も与えてしまうのです。
便秘がちな人はリラックスするのが苦手?
そもそも自律神経とは、わたしたちの意識とは関係なくからだの機能を調節しています。
自律神経は大きく分けて2つ、交感神経と副交感神経とがあります。
車のアクセル(交感神経)とブレーキ(副交感神経)に例えられたり、
活動モード(交感神経優位)とリラックスモード(副交感神経優位)とあらわしたりします。
この2つが環境や場面によってうまく切り替わることで、からだを正常に保とうとします。
胃腸での消化・吸収、それから排泄、これらはリラックスモード(副交感神経優位)のときに活発になります。
現代人はストレスにさらされ、緊張や不安でリラックスできていない傾向にあるといいます。
そんな風にアクセル(交感神経)を緩めることができない状態が続くと、からだはバランスをとろうとしてブレーキ(副交感神経)も踏もうとしてしまいます。
これでバランスがとれるわけではありません。ブレーキを踏みっぱなしにすることで、胃酸が過剰に出過ぎることがあります(胃酸過多)。
日本人が飲んでいる薬のうち、上位にあがってくるのが胃薬でしょう。胃薬にも様々ありますが、胃酸過多に処方されるのが「胃酸の出過ぎを抑える薬」です。
胃酸は本来消化のスタートに非常に重要な役割がありますが、出過ぎると胃の粘膜を傷つけてしまったり、逆流しやすくなったりします。
しかし胃酸の出過ぎを抑えるだけでは根本治療とはなりません。
一度アクセルを緩められるようになる必要があるのです。

東洋医学で考える便秘の5タイプとそれぞれの改善策
熱タイプ🔥
特徴:腸(特に大腸)に熱がこもり、便の水分が失われることで便が硬くなる。
腸に熱がこもる原因別解決策
・もともと陽気がさかん(エネルギーが充満している状態)
→陽気(エネルギー)は停滞すると熱に変わるため、巡らせる。それから熱のこもり具合によっては寒性(冷やす性質)の生薬も取り入れる必要があるかと思います。
・過度の飲酒や辛いもの・油ものの摂りすぎ
→不摂生が続くと熱も慢性化してしまいます。食事は内容が良くも悪くも習慣化しやすいものです。
いま一度、食習慣の見直しをしてみましょう。
・熱性疾患
→炎症など、その原因疾患の治療が最優先です。
ガスタイプ💨
特徴:ストレス(気滞)が原因となるもの。げっぷやおならが増えやすい。
ストレスがかかると、我々は知らず知らずのうちに交感神経が優位となります。
消化・吸収・排便を促してくれるのは副交感神経ですので、ストレス下では便が停滞しやすくなります。
また、座りっぱなしなど同じ姿勢を長時間強いられることも腸の蠕動(ぜんどう)運動の低下につながります。
→ストレスの発散、からだを動かす、漢方では『気滞(気の滞り)』をほどくものが優先されます。また、自律神経の調節に関わる血流の改善も必要となるケースが多いでしょう。
エネルギー不足タイプ😣
特徴:エネルギー(気)が不足すると便を押し出しにくくなる。
「便秘には腹筋するのがいいよ」なんて言葉を聞いたことがある人もいるかもしれません。
たしかに、高齢者など筋力の低下などによって力が入りにくいことで排便しづらい場合もあるでしょう。
しかし、東洋医学では単に筋肉が不足していることではなく、からだを構成する「気」の不足が原因だと考えます。
「気」はエネルギーだとイメージしてください。便を形作っていくのは大腸の蠕動運動です。これも「気」によって動かされているものだと考えると、意図的に力を入れてできることではないと分かります。
もちろん、排便時に踏ん張る力も時には必要ですので、筋力を維持するのに越したことはありません。
また、腸の粘膜細胞の生まれ変わりにもエネルギーが必要です。そして、細胞の成長に必要な栄養素の補給も不可欠です。
→東洋医学ではエネルギー不足を『気虚(ききょ)』または『脾虚(ひきょ)』といいます。特に胃で食べたものからエネルギーを得ることが重要ですが、内臓自体に弱りがあったり、もともと消化するエネルギーの不足があったりするとうまくいきません。そんなとき、漢方では気を補います。
エネルギーの不足は、自律神経のバランスであらわすと交感神経優位になりにくい傾向にあるとも考えられます。
そのため、副交感神経優位な状態が続くとかえって下痢をおこしやすいケースもあります。
何事もバランスが重要ですね。
冷えタイプ🥶
特徴:腸が冷えて動きが鈍くなり、便が停滞してしまう。
腸が冷える原因別解決策
・陽気が少ない(陽虚)
→『陽気』はからだを温めるエネルギーをイメージしましょう。これが少ないと、からだが冷えやすくなります。内臓まで冷えてしまうと、便をつくる環境の温度も下がり便が凝縮されやすくなります。もともと陽気不足な人だけでなく、秋冬の寒くなる時期には特に便秘の症状に注意しましょう。
漢方では温める性質を持つものや、気を補うものが選択肢にあげられます。
・老化(腎虚)
→老化に伴い、「二便」の調節機能が低下します。二便とは、大便と小便をさします。この2つはからだの毒素を排出するのに重要なものですが、排尿か排便かをからだは調節していたのです。老化に伴い、排尿が増え排便が減ることで便秘が起きやすくなると考えます。排尿により腸液が減少すると、便の水分量が減り硬くなってしまいます。
漢方では『補腎』といって、腎の機能を補うものを使います。腎には潤いや水分と関連する『腎陰』、エネルギーや気を意味する『腎陽』の二つがあると考えており、見極めがとても重要です。
・冷たいものの食べすぎ、飲みすぎ
→物理的な刺激によっても腸は冷えてしまいます。夏場は特に、アイスコーヒーにアイスクリーム、キンキンに冷えたビールなどを選びがちかと思います。また、からだは冷えながらも胃に入ると温度を上げようと働きますのでエネルギーもより一層消耗してしまいます。寒い時期に限らず、からだのことを考えるとなるべく体温に近い温度のものを飲食するのが理想的ですね。
乾燥タイプ🫥
特徴:腸管内が乾燥することで、便がウサギの糞のようなコロコロ便に。
腸の粘膜に潤いがなくなると、スムーズに便が運べなくなることに加え、便から水分を吸収しようとする力も働きます。
これにより、腸に便が停滞する時間も長くなります。長くなればなるほど便の水分も奪われてしまいます。
→東洋医学では、乾燥した状態を『血虚』といいます。肌だと自分で触って乾燥状態が確認できますが、腸の内側の状態は目で見て分かるものではありませんよね。産後や出血過多、月経なども血虚の要因となります。血の不足は便秘だけでなく、肌荒れやメンタルの状態にも関わってきます。
漢方では、血を補うものを使います。血虚の場合、脾虚(エネルギー不足)を伴うことも多く、並行して治療が必要になるケースもあります。
血虚が進行していくと、『陰虚』とよばれる状態になります。潤すものがなくなってくると相対的に熱が強くなり、やかんを空焚きしているような状態になります。
こうなってしまうと、陰を補うことが最優先となります。また、同時に相対的に強くなった熱を抑えることも必要です。※最初の熱タイプとはちがうので注意

さいごに
「ただの便秘だから」と思わないでください。
気付かないうちに、便秘に伴って様々な症状があなたの生活の質を落としているかもしれません。
便秘は、排便のストレスだけでなく感情やメンタル、肌状態にも大きな影響を与えます。
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