1.雨水とは?(2026年2月19日~3月4日)
「雨水(うすい)」とは、空から降る雪が雨へと変わり、山に積もった雪や氷が解けて田畑を潤す水を差します。
古くからこの時期は「農耕の準備を始める目安」とされてきました。
冬の間じっと静かにエネルギーを蓄えていた大地が、温かな雨を受けて目覚め始める。
自然界が「陰」から「陽」へと大きく舵を切る、生命力にあふれたタイミングなのです。
私たち人間も自然の一部です。
雨水の時期は、固まりがちな冬の体から、しなやかに動ける春の体へと解凍していく、とても大切な準備期間にあたります。

2.雨水に起こる体の不調
この時期、なんとなく「体が重だるい」「やる気が出ない」と感じることがありませんか?
体は季節の変化に敏感に反応しており、こうしたサインを出すことがあります。
①「湿(しつ)」による重だるさ
雨水という名の通り、空気中の湿度や雨が増え始めます。
この湿気が体に溜まると「湿邪(しつじゃ)」となり、消化器系(脾)に負担をかけやすくなります。
よく見られる症状:
- 食欲がわかない、お腹が張る
- 体が重い、むくみやすい
- 軟便ぎみになる
②自律神経の乱れと「肝(かん)」の昂ぶり
春は「肝」の働きが活発になる季節です。
肝は自律神経や感情のコントロールを司りますが、急な気温上昇や寒暖差に対応しようとオーバーヒートしやすくなります。
よく見られる症状:
- イライラ、情緒不安定、不眠
- 目の疲れ、充血
- 頭痛(特に片頭痛や目の奥)
3.雨水の養生ポイント
雨水の養生で大切なのは、「冬の終わりを受け入れ、春の準備を整える」ことです。
①体を「ゆるめる」(疏肝解鬱:そかんかいうつ)
冬の間に、寒さから身を守るためにギュッと縮こまっていた筋肉や神経を、やさしくほぐしてあげましょう。
気が滞ると熱がこもりやすくなるため、気の巡りをスムーズに流し(疏肝)、ストレスを逃す道を作ることが大切です。
②おなかを「いたわる」(健脾利湿:けんぴりしつ)
春が深まるにつれて湿気はさらに増していきます。
その前に、湿気に弱い「消化器(脾)」を整え、余分な水分を排出できる体づくりをしておくことが、雨水の時期を元気に過ごすためのポイントです。
4.雨水におすすめの食材&生活習慣
①おすすめの食材
- 春キャベツ:この時期の春キャベツは、冬を越えて瑞々しさと甘みを蓄えています。
「脾」を元気にする力があり、胃もたれや消化不良をやわらげてくれます。
さらに「腎」を補い、骨や筋肉を丈夫にする働きもあるため、寒暖差で疲れが出やすいこの時期のエネルギー源として最適です。
胃腸が弱りやすい時期なので、生食よりもスープやサッと蒸すのがおすすめです。
甘みが引き立ち、お腹を温めながら栄養を丸ごと摂ることができます。 - ニラ:「春のニラは宝物」と言われるほど、この時期のニラが香りが高く、生命力に満ちています。
別名「起陽草(きようそう)」と呼ばれ、冬の間に体の奥に隠れていた熱(陽気)を呼び起こし、全身に巡らせるスイッチの役割を果たします。
滞った「血(けつ)」の流れを促し、冬から春へと心身をスムーズに切り替えてくれます。
レバーや卵と合わせた炒め物がおすすめです。
ニラの香りと辛みが「肝」の働きを助け、疲労回復とストレス解消を同時に叶えてくれます。 - ハトムギ:湿気が増え始めるこの時期、余分な水分を外に出す働きのあるハトムギが用いられることがあります。
利尿作用があり、体内に溜まった余分な水分「湿(しつ)」を尿として排出する助けになります。
「なんだか体が重い」「むくみが気になる」といった、大地のぬかるみのような体の重だるさをやわらげ、体内の流れをすっきりと整えてくれます。
お茶として飲むほか、茹でてご飯に混ぜたり、スープの具にしたりすると、食物繊維も一緒に摂れてデトックス効果も期待できます。

②おすすめの生活習慣:足元の「温活」と「ゆとり」
♦「下厚上薄(かこうじょうはく)」を意識する
昔から春の養生で言われる言葉です。
春の陽気は上へと昇る性質があるため、上半身を厚着しすぎると熱がこもり、のぼせやイライラの原因になります。
一方で、冷えは足元から忍び込み、巡りを悪くします。
上半身は脱ぎ着しやすい軽やかな装いをしつつ、足元は靴下やレッグウォーマーでしっかり温めましょう。
♦「髪を解き、ゆったり歩く」
中医学の古典である『黄帝内経』には、春の過ごし方として「被髪緩形(ひはつかんけい)」という言葉があります。
「髪をきつく結ばず、衣服をゆっとりさせ、庭をのんびり散歩する(広歩)」という意味です。
髪をきつく結んだり、体を締め付ける服を着たりすることは、春の伸びやかな気を妨げてしまいます。
朝や日中の暖かい時間に10~15分ほど、少し歩幅を広げて、遠くの景色や芽吹き始めた緑を眺めながら歩いてみましょう。
滞った「気」がスムーズに巡り始めます。
5.おわりに
雨水の時期に降る雨は、硬い土を潤し、眠っていた命を呼び覚ます「恵みの雨」です。
私たちの体も同じように、この時期にしっかりと内側を潤し、冬の間に固まったものをゆるめておくことで、春本番のエネルギーを存分に受け取れるようになります。
植物たちが雨の音を聞いて芽吹きの準備を始めるように、、私たちの体も今、春の準備をしています。
理由のない重だるさやイライラは、決してあなたが怠けているわけではありません。
冬から春への大きな変化に、体が応えようとしている証です。
その頑張りに気づき、「お疲れさま、もう少しで春だね」と、温かい飲み物一杯で労わってあげること。
そんなふうに自然のサイクルと歩幅を合わせていくことが、雨水の時期の何よりの養生になります。

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