1.啓蟄とは?(2026年3月5日~3月19日)

「啓蟄(けいちつ)」とは、土の中で冬眠していた虫たちが、春の光と温もりに誘われて地上へと動き出す季節です。

自然界では、冬のあいだじっと蓄えていたエネルギーが外へ溢れ出し、植物は殻を破って芽を出し、動物は巣穴から顔をのぞかせます。

私たちもまた、自然の一部。
体の内側でも冬に奥深くしまわれていた気が、春の訪れとともに「外へ、外へ」と巡り出そうとしています。

啓蟄は、春本番へ向けた発散のスタート地点なのです。

2.啓蟄に起こりやすい体の不調

①「肝」の昂ぶりによるのぼせと怒り

東洋医学では、春に「肝」が最も活発になる季節です。
肝は、気や血を全身に巡らせ、感情や自律神経を整える司令塔のような存在です。

春の‟伸びようとする力"が強まると、巡りが追いつかず、上半身に気が集まりやすくなります。

よく見られる症状:
  • 顔ののぼせ、ほてり
  • 側頭部や頭頂部の頭痛
  • 目の充血や強い眼精疲労
  • 些細なことでイライラ

エネルギーが「過剰」なのではなく、「上に集まりすぎている」状態です。

②デトックスの停滞による肌荒れと吹き出物

冬は代謝が穏やかで、体はエネルギーを内側に蓄える傾向があります。

春になるとそれを外に出そうとする働きが強まり、巡りや排出の力が弱いと、余分な熱や老廃物が皮膚に現れることがあります。

よく見られる症状:
  • 顔や背中の吹き出物、ニキビ
  • 皮膚のかゆみ、赤み
  • 口内炎

これは体が「外に出そう」としているサインでもあります。

③感情のゆらぎ

エネルギーが外へ向かう季節でも、忙しさや環境の変化で気を滞らせると、「気滞(きたい)」と呼ばれる状態になります。

よく見られる症状:
  • 喉のつかえ感
  • 胸やお腹が張って苦しい
  • 急な落ち込みや不安感

春は‟動きたい季節"。
動けない状態が続くと、心にも体にも滞りが生じやすくなります。

3.啓蟄の養生ポイント

①気をのびやかに流す

肝の大切な働きが「疏泄(そせつ)」——気をのびのびと巡らせる力です。

我慢や気持ちを抑えると、行き場を失った気が体内で渋滞してしまいます。
川の流れをせき止めれば水が濁るように、心と体も滞りを嫌います。

深呼吸をする、軽く体を動かす、思いを言葉にする。
小さな発散を意識することが、啓蟄の養生の基本です。

②冬に内へ溜めたものを外に出す

冬に溜めていたエネルギーが、体の巡りに沿って外へ動き出す時期です。
巡りが滞ると、余分な熱が上半身にこもり、のぼせやイライラ、肌トラブルが起こりやすくなります。

大切なのは、特別なことをするのではなく、自然なリズムで体を整えることです。

  • 便通を整える
  • 汗ばむ程度に体を動かす
  • 香りや苦味を取り入れる

溜まったものをやさしく流し、気の巡りを整えることが、春本番を健やかに迎えるための土台になります。

4.啓蟄におすすめの食材&生活習慣

①おすすめの食材

  • ふきのとう:春の皿には「苦味を盛れ」と言われるように、ふきのとうの苦味には、上に偏った熱や気を下ろし、目の充血やのぼせをやわらげます。
    冬のあいだに溜まった老廃物や余分な熱を体外へ排出するデトックス作用もあり、体を春仕様に目覚めさせてくれます。
    天ぷらや味噌和えにしたり、少量をパスタや炒め物に加えたりして、香りと苦味を楽しみながら気の巡りを整えます。
  • セロリ:さわやかな香りと苦味は、滞った気を柔らかく流し、胸のつかえやイライラをやわらげます。余分な水分の滞りを調整する作用もあり、春ののぼせや軽いむくみを感じやすい時期におすすめです。
    葉も一緒にスープや炒め物に加えると、香りが広がり、気の巡りをさらに助けてくれます。
  • あさり、しじみ:春は肝の働きが活発になるため、血を消耗しやすい時期でもあります。
    あさりやしじみは、血を補いながら体内の余分な熱や老廃物を穏やかに排出する作用があります。目の疲れやむくみ、情緒の不安定さが気になるときにおすすめです。
    苦味のある野菜と合わせると、気・血・熱のバランスをより整えやすくなります。

②おすすめの生活習慣

♦視界を緑で満たし、遠くを眺める

東洋医学では、「肝は目を開竅する」とされ、目の状態は肝の状態を映します。

散歩の途中で公園の芝生を眺めたり、デスクに小さな観葉植物を置いたりして、意識的に緑を視界に入れましょう。さらに1時間に一度、窓の外の遠くの景色に目を向けるだけでも、目の筋肉がゆるみ、頭に偏っていた気が外へ抜けていきます。
緑色は昂りやすい肝を穏やかに整える色で、遠くを見る行為そのものが春の養生になります。

♦「息を吐く」ことを意識した呼吸

春は感情が動きやすく、怒りや焦りは気を押し上げ、のぼせや頭痛につながることがあります。

そんなときは、息を「吸う」よりも「吐く」ことを意識してみましょう。
お腹の奥に溜まった熱や緊張をすべて出し切るように、細く長く「ふぅーっ」と吐きます。
息を吐き切ると自然に新しい息が入り、上にこもった気を下へ導き、イライラやのぼせをやわらげます。
緊張がゆるみ、内側のざわつきが静かに整います。

♦衣服で「風通し」をつくる

啓蟄の気は、勢いよく上昇します。
首元に少しゆとりを持ち、ボタンを一つ外す、ネクタイをきつく締めない、襟元を軽く開けるなどで調整すると、春の気を頭部に溜めず、のぼせや不眠を防ぎやすくなります。
さらに、首や肩周りが軽く解放されることで呼吸も自然に深まり、全身の気の巡りがスムーズになります。
物理的な解放が、気の流れを整えることにもつながり、心身ともに春の始まりを軽やかに感じやすくなります。

5.おわりに

啓蟄は、冬に蓄えたエネルギーが外へ向かい、体や心も動き出す季節です。
上に偏りやすい気を下へ送り、滞りを解消することが、春本番を健やかに迎えるカギになります。

呼吸や軽い運動で体の巡りを感じ、視界に緑を取り入れるなど、自然のリズムに沿った小さな習慣を意識してみましょう。

少しずつ体を心を動かすことで、冬の疲れや停滞感をすっきり流し、軽やかに春を楽しめる準備が整います。

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