「疲れているのに眠れない」
「もっとぐっすり寝たい」
「寝ても寝ても疲れがとれない」
春は特に睡眠のお悩みが増える季節です。
ここでは、睡眠トラブルの原因と改善方法について東洋医学の考えを踏まえてお話していきます。
春に睡眠の悩みがでてくるのはなぜ?
五臓を知ろう
五臓六腑という言葉をどこかで聞いたことがあるでしょうか?
美味しいものを食べた・飲んだときに『五臓六腑にしみわたる~』なんていいますよね。
東洋医学では、この五臓六腑というワードが重要となります。
東洋医学では自然界のすべてのものは5つの要素から成り立っていると考えます。(五行論)
木・火・土・金・水
そして、それらが互いに高めたり弱めたりすることで自然界の生命活動が営まれるといわれています。
「木は燃料となり火を生む」、「火は燃え尽きると灰土となる」、「土の中から金属が生まれる」、「金属のあるところに水がある」、「水は木を育てる」:高める、助ける、相生(そうせい)の関係
「木は土の養分を奪う」、「土は水をせき止め吸収する」、「水は火を消す」、「火は金属を溶かす」、「金属(刃)は木を切る」:弱める、打ち勝つ、相剋(そうこく)の関係
五臓は、五行論に人間のからだ(臓器、器官など)やこころ(情緒、感情など)の機能などをあてはめたものをいいます。
肝・心・脾・肺・腎
五臓だけでなく、季節、色、味などを分類しまとめたものが下の図です。

季節と五臓~肝~
東洋医学では、五臓の『肝』は『春』と深い関係があります。
その『肝』にはどういう役割があるか知っていますか?
・栄養物の分解、合成、貯蔵
・自律神経を通じた血流調節
・精神情緒の安定、自律神経を介した機能調節
・運動神経系の調節
・視覚の調節
・爪の栄養
このように、肝ではからだを“調節”するための血液とそれをつくる栄養が重要となります。
食生活の乱れ、いわゆる不摂生など思い当たる節がある人もいるのではないでしょうか。
また、肝はストレスの影響を受けやすい特徴もあります。
この時期誰もが感じるストレスのひとつに、寒暖差があります。
春になると日中は気温が上がりますが、朝晩は冷え込む日もあります。
急に冷えるとからだが対応しきれず、自律神経の調節がうまくできないことがあります。
肝の失調により起こるトラブルはさまざまですが、特に睡眠のお悩みは学校や仕事など、生活に大きな支障を与えかねません。

睡眠トラブル×東洋医学~あなたはどのタイプ?~
・寝つきが悪い(入眠困難)
布団に入ってもなかなか寝付けない、気付けば何時間も経っている、考えれば考えるほど眠れなくなる・・・
こんな方は、副交感神経よりも交感神経が優位になりやすいと考えられます。
本来、入眠時は副交感神経が優位になり、体温が下がることで眠りにつけます。
交感神経が優位になってしまう外的要因として、就寝前のスマホの使用によるブルーライトの影響や日中のカフェイン摂取などが考えられます。
就寝30分~1時間前にはスマホやテレビなどを消す、コーヒーを飲むのは午前中だけにするなど、意識してみるといいかもしれませんね。
また、体温が下がることによって入眠できることから、もともとの体温が低く冷えが強いと、そこから体温が下がりにくく寝つきに影響することもあります。
からだの冷えが気になる場合は、就寝前に入浴しからだをあたためること
東洋医学では、23~1時のあいだは『陽』と『陰』が入れ替わるタイミングだといわれています。
自律神経を、陽=交感神経、陰=副交感神経と考えると、この時間に睡眠のスタートをきれると良さそうですね。
・途中で目が覚める(中途覚醒)
早く寝ても遅く寝ても必ず途中で目が覚める、朝までぐっすり寝たことがない・・・
年齢や性別に関わらず、このようなお悩みをお持ちの方はかなり多いです。
東洋医学では、1~3時のあいだは『肝』が血液を溜めて浄化する“デトックス”の時間と考えます。
中途覚醒の時間に相当するのがおおよそこの時間だといえます。
つまり、肝の働きがうまくいかなくなるとこの時間帯に熟睡するのが難しくなってきます。
・朝早くに目が覚める(早朝覚醒)
まだ寝ていたいのに予定より早く目が覚めてしまう、二度寝できない・・・
中途覚醒との境界が難しいところかもしれません。
一般的には、予定より2時間以上早い・睡眠時間が6.5時間未満の場合をいいます。
理想の睡眠時間には個人差がありますが、必要以上にとっている場合はそれほど考えすぎないようにしましょう。
東洋医学では、3~5時のあいだは肝でデトックスした血液を『肺』が全ての経路へ送る時間と考えます。肝での仕事がうまくいかないと、ここでの『肺』も行き詰まってしまい熟睡できなくなります。この場合、早朝覚醒に加えて『肺』の失調による咳などの症状が出やすい時間帯でもあります。
・夢を見る
毎晩夢を見る、眠りが浅い気がする・・・
東洋医学では、夢見は中途覚醒と同じく肝の働きが低下することによって熟睡しづらくなっていると考えます。
睡眠は、レム睡眠(脳は動き、からだは休む)とノンレム(脳もからだも休む)から成っています。
夢を見るのはレム睡眠のタイミングですので、覚醒に近い段階での睡眠が増えているとも考えられます。
レム睡眠+ノンレム睡眠の1セットがおおよそ90分といわれていますので、目安として90分単位で睡眠時間をとるようにすると心地よい目覚めを感じられるかもしれません。
・寝ても寝足りない、スッキリ起きられない
実際はこれに伴い、上記の中途覚醒や夢見などのお悩みをお持ちの方も多いです。
この場合、東洋医学では肝のみでなく『脾』に影響が及んだ〈脾虚〉の状態だと考えられます。
東洋医学での治療
ひとくちに「不眠」といっても、それぞれ原因は異なります。
肝の失調は大きく分けて3つ、肝の血液が少なくうまく流れない〈肝血虚〉、ストレスが多く血流を悪くしている〈肝気の高まり〉、からだを潤すことができない〈肝陰虚〉があります。
症状だけでみると肝の不調でも、それに伴い五臓のバランスが崩れほかにも影響を及ぼすことも少なくありません。
ひとりひとりの症状を引き起こす原因をつきとめ、それをもとに戻すことが漢方薬・自然薬の役目です。
症状が慢性化してしまうと、治るのにかかる時間も長くなってしまいますし、その間にもストレスや気血の消耗によって症状が進んでしまう恐れがあります。
また、東洋医学の治療のメリットとして、たとえば不眠を改善しようと思ったのに気付けば目の疲れがとれた、足がつりにくくなったなど肝の失調によって付随して起こっていたさまざまなトラブルが解消されることが多々あります。患者さまご本人は当初そんなに気に留めていなかったからだの不調も、からだを治すことによってあれもこれも良くなったと言われることがたくさんあるのが東洋医学での治療の強みだと思います。
病気だと診断される前に、『未病』・『予防』の段階からからだをいたわってあげましょう。

さいごに
春の季節は特に『肝』の失調による睡眠のトラブルが起きやすい季節です。
『肝』は血液によるさまざまな機能の調節を担うため、十分かつ質の良い血液が必要です。
その血液を浄化し全身に送ることが、睡眠中にからだの中で起こっています。
不眠が続くとその働きが十分にできずに悪循環に陥ってしまいます。
健康なからだのためにも睡眠は不可欠です。

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