小満(しょうまん)は、二十四節気の5番目に位置し、毎年5月21日頃にあたります(2025年5月21日~6月4日)。草木が生い茂り、生命が満ちていく時期で、私たちの体にもそのエネルギーが影響を与えます。しかし、この季節に注意しなければならないのが、陽が強くなるあまり、心身が疲れやすくなることです。陽が盛んな時期こそ、陰を養うことが必要です。
そこで今回は、小満の時期に意識したい「養陰」の大切さと、実践方法について、ご紹介します。

養陰とは?
「養陰」とは、陰を養うこと。体内の「陰」のエネルギーを補い、調和を保つことを指します。
「陰」とは、体の中で、冷やす、潤す、静める作用を持つものを意味します。
陰と陽は、自然界の基本的な二つのエネルギーであり、陰は陽に対して冷静さや滋養、安定性を提供します。養陰は、特に体内の潤いと冷静さを保ち、過剰な熱を抑えることが目的です。
小満は、陽気が強くなり、気温が上昇し、陽のエネルギーが強くなる時期です。この時期は、「陽」が優位になり、活発な活動が続くため、「陰」のエネルギーが不足しがちです。体内の陰が失われると、体が乾燥し、エネルギーが過剰に消耗され、不調を起こしやすくなります。そのため、陰を補うために「養陰」が大切です。
※「陽気」・・・外部の自然界に存在するエネルギー
「陽」・・・体内のエネルギー
1.陰が不足すると起こる不調の例
①熱感やほてり
陰は体内の冷却作用を担うため、陰が不足すると体内に熱がこもりやすくなり、顔や体に熱感やほてりを感じることがあります。

②乾燥症状
小満の時期は、陽気が強くなるため、陰が消耗されやすくなります。そのため、体内の潤いが失われ、肌や喉の乾燥、口の渇き、目の乾燥感、便秘などの不調が現れます。
乾燥が進むと、肌がかゆくなったり、唇がひび割れたりすることもあります。
③体力の低下や疲れやすさ
陰が不足すると、体内の潤いや水分が十分に保たれなくなり、肌や内臓が乾燥しやすくなります。陰は体のエネルギーの安定を保つ役割を担っており、これが不足すると、細胞の働きが低下し、栄養やエネルギーがうまく循環しなくなります。その結果、体力が低下し、日常的な疲れが蓄積されても回復しにくくなります。さらに、エネルギー不足が続くと免疫力も低下し、体が疲れやすくなる原因となります。

④不安やイライラ
陰が不足すると、体内の冷静さや安定感が欠け、過剰に興奮したり、ストレスに反応しやすくなることがあります。陰が不足している状態は、心を落ち着けるエネルギーが不足していることに繋がり、その結果、不安やイライラを感じやすくなります。
2.小満の養陰法
小満の時期における、日常生活の中で実践できる養陰法をご紹介します。
①養陰に適した食事
体内の陰を養うために、冷やす効果があり、潤いを与える食材、体を温め過ぎず、消化に負担をかけない食材を適度に取り入れることが重要です。
以下は、養陰に役立つ食材の例です(自分の体調や体質を見ながら、食材を選びましょう)。
- アスパラガス:体を潤し、乾燥を防ぐ効果があります。ビタミンAやC、ミネラルが豊富で、免疫力
を高めるとともに、体を冷やしすぎず陰を養うことができます。 - スイカ:水分が豊富で、体にこもった熱を冷ましつつ、乾燥から守り、潤いを補います。
- さやえんどう:体内の潤いを保ちながら、過剰な湿気や熱を調整するために有効です。
- 白きくらげ:体内に潤いを与え、乾燥による不調(肌や喉の乾燥)の予防や改善に役立ちます。
潤いを補うだけでなく、免疫力を高め、デトックス効果も期待できます。 - 海藻類:陰を補うとともに、体内のミネラルバランスを整える働きがあります。
- 絹ごし豆腐:水分を豊富に含み、しっとりとした食感が特徴です。これにより、体に潤いを与え、
乾燥を防ぎます。 - トマト:クールダウンの効果があり、体内の熱を冷ます作用があります。
- きゅうり:高い水分量をあり、体を冷やす作用があります。
過剰に冷たい物、辛い物、脂っこい物、アルコールを摂取すると、体内の陰を消耗し、陰陽のバランスが崩れ、体調を崩す原因となることもあります。バランスの取れた食事を心がけましょう。

②十分な休息と睡眠
十分な休息と睡眠は、陰を養うために欠かせません。体は睡眠中に修復され、エネルギーが補充されます。睡眠不足だと、体は疲れを回復できず、陰が消耗し、エネルギー不足や免疫力低下を招きます。また、休息不足は、自律神経のバランスを崩し、過度なストレスが蓄積されるため、心身の調和が乱れます。特に小満の時期は陽気が強まり、活動的になる反面、陰を養う時間が不足しがちです。質の良い睡眠と適切な休息を取り入れることで、陰のエネルギーをしっかりと補充し、心身のバランスを保ちましょう。
③適度な運動を心がける
小満の時期には、体内の陽が強くなりすぎることを防ぐために、適度な運動を行うことも大切です。
過度な運動や激しい運動は、陰を消耗してしまうので、軽いウォーキングやストレッチなど、体を軽く動かす程度(心地いいなと感じる)の運動が理想的です。これにより、気血の流れが良くなり、陰の補充と陽の調和が図れます。

④心のケア
心のケアも養陰には欠かせません。ストレスや不安は陰を消耗させ、体調に悪影響を与えることがあります。小満の時期は、陽気の高まりに伴い、心身ともに忙しくなりがちですか、心の安定も意識して保つことが必要です。リラックスできる時間を持ち、自然の中で過ごすことや、趣味に没頭することも精神的な養生となります。
3.さいごに
小満は、陽気が強くなり自然界の生命力が満ちてくる反面、体内の陰が消耗しやすくなる時期でもあります。陰は体を冷やし、潤いを与え、内外のバランスを保つ役割があるため、陰のエネルギーが不足すると、体調不良や疲れなどを招きやすくなります。
過剰な陽を抑え、健康な体を維持することができるよう、養陰を意識しながら、調和のとれた生活を送りましょう。
ご予約について
完全予約制となっております。
ご予約は店舗へのお電話、またはご予約受付にて承っております。
お問い合わせメールの場合、返信にお時間をいただく場合がございます。
お急ぎの場合はお電話がおすすめです。
ご予約受付
ご相談について
漢方相談では、今のお体の状態や気になる症状について、丁寧にお話をお伺いします。
落ち着いた相談スペースで、リラックスしてご相談いただけますので、初めての方もご安心ください。
体質やお悩みに合わせて、ぴったりの漢方薬をご提案いたします。
ご相談時間はお一人30分くらいです。
松山漢方相談薬局HP
店舗情報
松山漢方相談薬局 横浜桜木町店
- 営業時間:10:00~20:00
- 定休日:第2木曜日
- TEL:045-341-4823
- 〒231-0063
神奈川県横浜市中区花咲町1丁目19-3
セルアージュ横濱桜木町ヴァルール101号室
松山漢方相談薬局 鶴見店
- 営業時間:10:00〜20:00
- 定休日:第2木曜日
- TEL:045-718-6801
- 住所:〒230-0062
神奈川県横浜市鶴見区豊岡町2-2
鶴見フーガII 3階