どうして出産後は体調が崩れやすいのか

出産は消耗の激しい人生の大イベントです。

漢方の視点から見ると、非常に多くの「血」を使います。

特に出血が多かった方は注意が必要です。

出産後の体が元の状態に戻るまでの期間を「産褥期」と呼び、

個人差はありますが6~8週間が平均の期間です。

回復までには時間がかかります。

この期間にホルモンバランスや子宮などの全身状態が妊娠前の状態に戻ります。

この期間にしっかりとケアをして、体調を戻しておくことが理想ですが・・・

子育てで自分どころではなく、この時の不調が回復しないまま、回復していない事に気付かずに何年も続いてしまっている人も多いです。

病院では大丈夫と言われても、漢方の目線ではまだケアが必要なことが多々あります。

ありがちな不調をご紹介します。

出産後によくある不調

①精神的に不安定になる

気分の落ち込み、やる気がでない、眠れない、寝付けない、食事が進まない、食べようと思えない、集中力がない、記憶力が低下した、自分が嫌になる、赤ちゃんへの愛情が低下する、育児への自信が持てない、いなくなりたい・・

精神的な症状は個人によって大きくことなりますが、

漢方的にはこれらの症状はすべて「気と血が足りてない」せいです。

自分を責めてしまう方が多いですが、体調がそうさせてしまいます。

ですので、こういった精神状態の方はなるべく早く周りに相談しましょう!

後にも記載しますが、こういった症状で困っている方にまず知ってほしいのが

産後ヘルパー」という存在です。

日本ではあまり知られてしませんが、使うのが当たり前とされている国も多く存在します。

こういった存在が精神的に大きく助けになることが多いです。

周りに相談できない、という方はぜひご検討ください。

自治体で「産後ヘルパー」を派遣してくれるところもありますので、

お困りの方はお住まいの市町村区の役所に相談してみてください。

また、民間でも「産後ケア」を事業として行っているところがあります。

わからない場合はお近くの市役所の地域包括支援センターに相談しましょう。

②貧血、めまい、ふらつき

出産後は貧血で悩まされる方が多いです。

それに加え、病院の検査では問題ないのに貧血の症状がある方がいます。

肌がパサつく、髪がパサつく、めまい、ふらつき等の症状がある方は血が足りていない可能性があります。

漢方ではこの状態を「血虚」と呼びます。

「血虚」は「貧血」よりも広義的で、病気ではなく治療の必要がないとされる方も、相対的に血の量が少ない方も含まれます。

自分だけでケアするのは難しいので、漢方でのサポートがとても有効です。

③疲れやすくなる

出産の時点で多くの「血」を消耗します。

血は各臓器に栄養を送り届ける役割があるので、

血が足りていないと、臓器に栄養がいかずに疲れやすいと感じることがあります。

また、「疲れ」は体のSOSのサインです。

体のSOSのサインとして他に「発熱」「痛み」があります。

この2つはわかりやすいですが、「疲れ」は無視や我慢をしてしまいがちです。

まずは疲れてるなーと自覚することが大切です。

自分の体調と子育てを両立するのは至難の業ですが、

自分は今疲れていて、全力で動けない状態だよーってことを認識するだけでも違います。

疲れている自分を許してあげましょう。

④瘦せすぎたり、太ったり、体型が変化してしまう

妊娠中と妊娠していないときではホルモンバランスが異なります。

また、エネルギーと血を出産で消耗してしまい、

代謝が落ちてしまうことで体型が変化しやすくなります。

さらに、生活習慣の変化によっても体型に影響があります。

様々要因が重なっていることが多いです。

⑤睡眠不足

エネルギーを回復するための睡眠ですが、

眠るためにもエネルギーが必要です。

「寝る子は育つ」と言いますが、これは寝ているから元気なのではなく、元気だからよく眠れる事を示唆している、という説もあるほどです。

疲れているのに眠れないという現象があるのはこのためです。

さらに、深く眠るためには「血」が必要と漢方では考えられています。

エネルギーも血も足りていない産後は眠りにくい体です。

出産後の不調にオススメの「食材」

①鶏肉(理想は烏骨鶏や地鶏)、寒い時期なら羊肉も◎

中国では妊婦さんにも、出産された方にも烏骨鶏のスープを食べさせる習慣があります。

烏骨鶏は中国では漢方としても有名で、滋養強壮薬として1000年以上も前から使用されてきました。

鶏なので副作用もなく”上薬”として重宝されたそうです。

(副作用があるものは程度により”中薬”または”下薬”に分類されます。)

烏骨鶏は入手しにくいうえに高額なので、無理せずに鶏肉で代用OKです。

消耗しきっている時は滋養のある鶏肉が一番です。食欲がないときはスープがおすすめです。

また、秋~冬には羊肉がおすすめです。

出産によって失われてしまう血を補ってくれる上に、体を温めてくれます。

夏にクーラーで冷えてしまっている人も助けてくれます。

羊肉も中国では漢方として使用されるほどパワーをもった食材です。

②牡蠣、あさりなどの貝類

牡蠣やあさり等の貝類はミネラル、たんぱく質を多く含んでいるので、特に貧血傾向の方におすすめです。

特に牡蠣には授乳に必要な栄養素が豊富に含まれています。

食中毒には注意したいので、しっかり加熱して食べることをお勧めします。

産後は免疫力も低下しているので、生食は控えましょう。

③棗

棗は漢方でも良く使われています。体のエネルギーと血の増加を助けてくれる食材です。

味は芋のような甘さでおいしいですよ。

中国ではおやつの定番で、毎日のおやつにお勧めです。

④黒きくらげ

薬膳では黒い食材は体の潤いを与えてくれるとされています。

体の潤いがアップするとホルモンバランスを整いやすくなり、肌もキレイになります。

元々の体質で生理痛や不正出血があった方には特におすすめです。

スープに加えて食べてみてください。

⑤黒ゴマ

こちらも薬膳では体の潤いがアップし、血を補うと言われています。

ちなみに、白ごまは腸の調子を良くしてくれるといわれています。

毎日少し好きなものにかけて食べてみてください。

出産後に気を付けたい「生活習慣」

①睡眠不足に要注意

子育て中は仕方ない・・・と睡眠不足を放置するとかなり辛いです。

できれば15~20分の仮眠を取り入れましょう。

まとまった睡眠ができるのが理想ですが、そういかないのが子育てですよね。

合間をぬって仮眠を取るだけでも疲れが軽減します。

②運動は無理にしなくて大丈夫!まずは休みましょう!家事が良い運動になります

体のエネルギーを消耗しきった状態での運動は、

むしろ健康から遠のいてしまう要因となりますので注意しましょう。

運動はストレス発散になって楽しく感じる時はおすすめです。

それでもどうしても運動していたいという方は家事で無理せず運動量を稼ぐのはいかがでしょうか?

意外と家事が体にとっては運動になります。

料理と洗濯はストレッチと同じくらいの運動レベルですし、

掃除は散歩と同じくらいの運動レベルです。

理論上、掃除や散歩くらいの強度の運動を1日22分以上できれば、運動不足は解消できます。

③食事は腹8分目程度を心がけて

体のエネルギーと血を補充する要になるのが胃腸です。

この胃腸が疲れてしまうと、体調の回復が遅れてしまいます。

エネルギー補給のためと暴食するのは控えましょう。

④1口に30回噛むように意識だけしてみましょう

こちらも先ほどと同様に胃腸のケアのためです。

さらに、よく噛むことで栄養の吸収がアップします。

忙しいと噛むことも忘れてしまいがちですが、

毎日をがんばるために、よく噛んで食べるのは心がけましょう。

出産後の不調にこそ、漢方を!

個人に合わせて選んだ漢方薬を飲もう!

この漢方が効く!と書きたいところですが・・・・

漢方は個人の体調に合わせて選ぶ必要があるため、ここでは残念ながら割愛します。

その人によって、エネルギーが必要だったり、栄養が必要だったり・・・そもそもエネルギーを作るところを強化しないといけなかったり・・・体調は人それぞれだからです。

漢方は婦人科系統の不調の漢方がたくさんありますので、病院では検査に出ない不調も漢方なら対応できます。

ぜひ一度、ご相談にいらしてください。

産後に困ってしまったら・・・

「産後ケア」というものが国を挙げて2024年から取り組みが強化されています。

出産後、慣れない育児につかれてしまいがちなママのために、育児支援やママの心身のケアをサポートすることです。

自治体によって事業の名前も違います。

「産後ケア ○○(お住まいの市町村区)」で調べてみてください。

多くの自治体、企業が行っていますので検索で出てくると思います。

日帰り型、宿泊型、訪問型と都合に合わせてケアを受けられるようになっています。

民間でも産後ケアを行っているところがありますので、

ご予算に応じて使い分けてみてください。

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