「栄養失調」と聞いて、まさかこの飽食の時代に、自分がそうかもしれないとは夢にも思わないでしょう。
実際に『あなたは栄養をしっかりとれていますか?』と聞いても『とれていると思う』と答える人は多いです。
しかし、現代問題となっているのが「新型栄養失調」です。
「現代型栄養失調」や「隠れ栄養失調」などと呼ばれることもあります。
今回は、新型栄養失調とそれによって起こるからだの不調について、東洋医学の観点からもみていきましょう。
1日3食摂っていても要注意!『新型栄養失調』とは
昔、食糧不足で起こっていた栄養失調とは異なり、現代の栄養失調は
『エネルギーは足りているが、タンパク質やビタミン・ミネラルなどのからだに必要な栄養素が不足している』ことを問題視しています。
なぜ“食べていても”起こる?
栄養のバランスが偏っているから、と誰もが思うでしょう。
では、どうしてそうなってしまうのか考えてみましょう。
内容の偏り
いまは、食べたいものがいつでもなんでも簡単に手に入る時代ですね。
八百屋さんやスーパーに行かなくても、お弁当やパン、惣菜など、出来上がったものが多くの場所で購入できるようになっていますね。
また、便利で簡単にお腹を満たせる加工食品やファストフードも増え、食事の選択肢も数え切れないほどあり、選びたい放題ではありませんか!
そんな現代の食生活、ライフスタイルだからこそ起こる問題が新型栄養失調です。
「食事のバランスを考えて食べよう」なんて言葉は昔から耳にタコができるほど聞いたことがあると思います。
幼い頃は大人が用意してくれて、嫌いなものでも頑張って食べていた記憶がある人もいるかもしれません。
しかし、いざ自分が大人になり自由に選べるようになると、好きなものばかり食べていませんか。
食事量の減少

ダイエットしなきゃ!と食事量を減らしたり、「脂質制限」や「糖質制限」などのワードに惑わされておかしなものを食べたりしていませんか。
食事量が減ると、自然とカロリー不足にも陥りやすくなります。
また、朝はなにかと時間に追われて忙しいことが多いでしょう。
実際、時間がないからと朝ごはんを抜いている人も少なくありませんね。
空腹の時間はダイエットにおいては不可欠な要素ですが、やむを得ず朝ごはんを食べないというのはいかがでしょうか。
脳に必要なエネルギーが不足してしまうと、集中力やパフォーマンスの低下につながりかねません。
仕事や学校でお腹がすいて力が出ない・・・なんてことにならないように、『目的のない朝ごはん抜き』はやめましょう。
野菜等の栄養価低下
昔と今では、野菜等に含まれる栄養価が激減しているというデータがでています。
つまり、新型栄養失調が問題になっていなかった頃とたとえ同じ量の野菜等を食べていても、同等の栄養が得られなくなっているということです。
その原因として考えられるものは、土壌の栄養の減少や品種改良、環境の変化、農薬の使用などさまざまです。

新型栄養失調によりからだに起こる変化とは?
どんな症状が出るの?
西洋医学的には、必要な栄養素のうちどれが欠けているかによって症状やその程度は変わってきます。
例えば、タンパク質が不足すると筋力が低下したり、手足の冷えが気になりやすくなったり。
ビタミンB1(チアミン)が不足すると疲れを感じやすくなります。
鉄が不足すると、ふらつきや力が入りにくいなど貧血のような症状が出やすくなります。
また、あまり聞き馴染みがないかもしれませんが、マグネシウムの不足によって筋肉の痙攣や脱力感、頭痛、食欲不振などの症状が出ることもあります。
東洋医学で考える栄養失調
東洋医学では、からだの機能を5つに分けて考えます。
五臓「肝・心・脾・肺・腎」のうち特に栄養素の消化・吸収にかかわるのが「脾」、それから分解・合成・貯蔵にかかわるのが「肝」です。

「脾」が弱っている状態(脾虚)では、エネルギーが不足し食べたものを消化・吸収することも難しくなります。消化不良が起こりやすいとお腹が空きにくくなり、食欲不振にも陥りやすいです。また、午前中の怠さや朝起きるのが苦手で、朝ごはんを食べる余裕がない人も多いですね。
そのため、脾の状態を整えることが栄養素を取り入れるための基盤をつくることにつながります。
また、「肝」では血液によって、自律神経や精神情緒、視覚などあらゆる機能の調節を行います。
私たちのからだの中を流れる血液は、栄養素をもとにつくられます。
肝の血液が不足した状態(肝血虚)は、からだの中で十分な血液を作れていないということです。血液を作るのにはエネルギーのほかに材料が必要ですので、材料の不足=栄養失調であるともいえるでしょう。
肝血虚の状態が続くと自律神経の乱れや睡眠障害、生理不順や目の疲れ、筋肉の痙攣などの症状が生じてきます。気分の落ち込みや意欲・集中力・判断力の低下など、精神や情緒にも影響を及ぼしかねません。
逆に、良質でたっぷりの血液を作り貯蔵しておくことができれば、全身のさまざまな不調の緩和・改善につながるとも考えられます。
全身のあらゆる不調には血液が関係しているといっても過言ではないでしょう。
新型栄養失調にならないための対策
食事量、食事内容の見直し、それから体調の改善が必要である場合もあるでしょう。
まずは普段自分がどんなものを食べているのか、把握することから始めましょう。
脱!「空っぽカロリー」
「空っぽカロリー」または「エンプティカロリー」という言葉を聞いたことがありますか?
これは、脂質や糖質がほとんどで、他の栄養素がほぼ含まれていない高カロリーの食品や飲料のことをいいます。
例えばハンバーガーやドーナツ、炭酸飲料、味のついたミネラルウォーター、カフェの新作ジュース、砂糖やミルクのたっぷり入ったコーヒー・紅茶、ポテトチップスなどのスナック菓子もそうです。
どれも手軽に買えて、しかも美味しく満足感が得られますよね。
また、これらには添加物が大量に使われていることも少なくありません。
「糖類ゼロ」と書かれているのに甘さはしっかり感じる飲み物やゼリー、お酒なども増えていますよね。
これらには、甘味を加えるために添加物として甘味料が入っています。
例えば甘味料のひとつアスパルテームは、砂糖の200倍もの甘さがあり少量でも甘味を感じることができます。
一方で甘さが強い分、味を感知するセンサーが鈍くなってしまう恐れがあり、それにより強い甘味(刺激)でないと甘さに満足できなくなることも考えられます。
そうすると摂取量がどんどん増え、肥満にもつながりかねません。
口に入れるものの中身を正しく知ることも大切です。

食事は正しく「選ぶ」
旬の素材を楽しもう
東洋医学の薬膳の考えでは、その季節にその土地で採れた食材を食べるのがからだに合っているといいます。
暑い時期にはからだの熱を冷ます食材、寒い時期にはからだをあたためる食材など、環境や風土に応じた自然の力を用いた養生ができます。
単品ではなくいろんなおかずを食べよう
カレーや牛丼、パスタなどの単品料理でもお腹は満たされるかもしれませんが、使う食材も数少なくなる傾向があります。
あと1品、2品のおかずをプラスしてより多くの食材を取り入れられるといいですね。
理想は定食みたいなメニューです。
いつかの家庭科の授業で習った「まごはやさしい」、覚えていますか?
ま(豆類)、ご(ごま)、は(わかめなど海藻類)、や(野菜)、さ(魚)、し(しいたけ、きのこなど)、い(芋類)ですね。
全部摂るのはとてもじゃないけど無理!と思う人もいるかもしれませんが、味噌汁にこれらを意識した具材を入れるだけでも摂れる栄養素はぐんと増えるでしょう!
一物全体食
一物全体食とは、『生きているものはまるごと全部でひとつの命』という考え方から、余すことなく全部を食べましょうという意味です。
例えば魚の皮や骨、野菜の葉や根など、切り落として捨ててしまいがちな部分にも栄養素は含まれていますので、一緒に食べられるのが理想です。

補助食品の活用
“理想的な食事”を掲げても、そうは言っても・・・と現実的でない人も多いでしょう。
私もそのひとりです。
現代はさまざまな健康補助食品やサプリメントが流通しており、簡単に手に入りますね。
ネット通販やテレビショッピングだけでなく近年はSNSなどで紹介されていることもあり、惹かれる人も多いのではないでしょうか。
食事だけでは栄養面が心配なときには、活用することでプラスに働くことが大いに期待できます。
しかし、選択を誤るとマイナスな影響を与えかねません。
実は添加物が大量に入っているものやどこで作られたのか分からないようなもの、根拠の乏しいものなどもありますから、見極めが必要です。
また、食事と同じく単一の成分だけを多量に摂ることで悪影響となることも考えられます。
選ぶなら、できるだけ加工工程や添加物が少なく天然に近いもの、可能であれば自然のものをまるごと取り入れられるのがいいですね。

世の中には数え切れないほどの種類のサプリメントや健康補助食品が存在します。
どれを飲んでいいのか分からない、自分に合っているものか不安・・・なんて思うのは当然です。
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