「健康診断で貧血と言われたことはないから大丈夫」
そう思っている方も多いかもしれません。
でも東洋医学では、血液検査の数値だけでは見えない“血の不足”が、疲れやすさや睡眠の質、気分の落ち込みなどにつながると考えます。
今回は、現代医学の「鉄不足」と東洋医学の「血虚(けっきょ)」の視点から、心とからだへの影響について考えていきます。
貧血とは?検査では何を見ている?

一般的に「貧血」とは、血液中の赤血球やヘモグロビンが不足して、体内で酸素を十分に運べない状態を指します。
健康診断などでは主に、
・ヘモグロビン値
・赤血球数
・ヘマトクリット値(血液中の赤血球の割合)
などを確認します。
特にヘモグロビンは、酸素を運ぶ大切な役割があります。
不足すると、
・疲れやすい
・息切れ
・めまい
・冷え
・頭痛
・集中力低下
・眠気
・爪や髪の変化
などが起こることがあります。
だらし、検査値が基準範囲でも「鉄が十分に足りている」とは限りません。
貧血と東洋医学の「血虚」はちがう
東洋医学でいう「血(けつ)」は、単なる血液だけではありません。
からだを養う栄養や潤い、精神活動を支えるものとして考えられています。
「血虚」とは、からだを満たし養う血が不足している状態を指します。
血虚では、
・肌や髪の乾燥
・爪が割れる、縦線が入る
・眠りが浅い
・不安感
・集中力低下
・動悸
・生理周期の乱れや生理時の不調
などが現れやすくなります。
つまり、血液検査で「貧血ではない」と言われても、東洋医学的には「血が不足している状態」と考える場合があります。
ミネラルは体内でどう働く?
鉄を含むミネラルはからだの調整役
鉄などのミネラルは、
・神経伝達を助ける
・エネルギーを作る
・筋肉や神経の働きを調整する
・ホルモンバランスを支える
など、からだのさまざまな機能に関わっています。
特に鉄は、ヘモグロビンの材料となります。
ヘモグロビンは、鉄(ヘム)+タンパク質(グロビン)からなります。
そのため、鉄だけでなく材料となるタンパク質も不足すると血を十分に作れなくなります。
現代では、食事量が足りないというよりも、必要な栄養素が不足しやすい時代ともいわれています。
忙しい生活の中で、
・簡単な食事で済ませる
・加工食品が増える
・同じものを繰り返し食べる
・炭水化物中心になりやすい
などの食習慣が続くと、カロリーは足りていても、からだを作るためのタンパク質やミネラルが不足することがあります。
からだは、食べたものを材料にして血液やホルモン、神経伝達物質を作っています。
その材料が不足すれば、からだの調節機能がうまく働きにくくなるのです。
栄養不足による不調については、下記のコラムもぜひご覧ください▼▽
この時代にありえない?!栄養失調と「なんとなく」不調|心と体の漢方 | 松山漢方相談薬局 [2025年06月20日]

ミネラル不足と自律神経の関係
自律神経は、呼吸や体温、心拍、消化、睡眠などを調整しています。
この働きにも、ミネラルが関係しています。
鉄やマグネシウムなどが不足すると、
・神経の興奮を調整しにくい
・疲労回復しづらい
・睡眠の質が低下する
・ストレスへの対応力が落ちる
など、自律神経のバランスが乱れやすくなることがあります。
「なんとなく調子が悪い」
「疲れているのに休んでも回復しない」
という状態の背景に、栄養不足が隠れているかもしれません。
ミネラル不足はメンタルにも影響する
脳は、大量のエネルギーを必要とする臓器です。
神経伝達物質を作ったり、脳内で情報をやり取りしたりするためにも、ミネラルは必要です。
不足すると、
・気分が落ち込みやすい
・不安感が出やすい
・イライラする
・集中力が低下する
・やる気が出ない
など、心の状態にも影響することがあります。
東洋医学では、「血は心を養う」と考えます。
血が不足すると、精神活動も不安定になりやすく、現代でいうメンタル面の不調とも重なる部分があります。

ミネラルを増やすには?
ミネラルは、体内で合成することができません。
そのため、食事などを通して外から取り入れる必要があります。
ただし、「摂ること」だけでなく、体内で「利用できる」状態を作ることも大切です。
・鉄を含む食材・・・赤身肉、魚介類、卵、大豆製品など
・血を作る材料となるタンパク質・・・肉、魚、卵、大豆製品など
・ミネラルを含む食材・・・海藻類、豆類、ナッツ類、野菜など
をバランスよく摂ることが大切です。
また、胃腸の働きが低下していると、せっかく摂っても吸収しにくいことがあります。
東洋医学では「脾(ひ)」が食べ物から血を作る働きを担うと考えるため、胃腸を整えることも「血を増やす」ための大切なポイントです。

まとめ
現代人は「食べていない」わけでなく、食べているのにからだに必要な栄養が不足している状態に陥りやすくなっています。
鉄不足は、単に「貧血になる」という問題だけではありません。
血を作る力が低下すると、からだだけでなく、自律神経や心の安定にも影響する可能性があります。
疲れやすい、眠れない、気分が安定しない・・・
そんなときは、生活習慣だけでなく「からだを作る材料が足りているか」という視点も大切です。
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