最近、
「痩せるには1日2Lの水を飲みましょう」
「たくさん水を飲んで血液をサラサラにしましょう」
という情報を見かけます。
しかし、東洋医学では必ずしもそうとは考えません。
実は、水分を摂りすぎることで体調不良を引き起こすケースもあります。
今回は東洋医学でいう「水毒(すいどく)」の視点から、適切な水分摂取についてお話します。
東洋医学の「水毒」とは?
東洋医学では、人のからだは
・気(き)
・血(けつ)
・水(すい)
のバランスによって成り立つと考えます。
このうち「水」は、厳密には
「水」・・・飲み物や食べ物など体外から取り入れる水分。
「津液(しんえき)」・・・体内で利用される体液。(汗や唾液、涙などを含む、からだの潤いを指す)
と分けて考えます。
本来、水はからだの中を巡りながら必要な場所へ運ばれ、不要になれば排出されます。
ところが、水分を必要以上に摂ったり、排出する力が弱くなったりすると、水がからだの中に停滞してしまいます。
これが「水毒」と呼ばれる状態です。
「1日2L飲もう」が全員に当てはまるわけではない
よく聞く「1日2L」という数字。
実は、これはすべての人に共通する適正量ではありません。
体格や活動量、季節、食事内容によって必要な水分量は大きく変わります。
さらに見落とされがちなのが、私たちは水だけでなく、
・ご飯
・野菜
・果物
・汁物
などの食事からも多くの水分を摂取しているということです。
そのため、“健康のために無理やり2L飲む”ことが、かえってからだの負担になる場合もあります。
水を摂りすぎるとどうなる?
飲んだ水分は、ただ体内に入るだけでなく、胃腸で吸収・運搬され、不要なものは腎臓を通して排出されます。
東洋医学では、これらの働きを主に「脾(ひ)」や「腎」が担うと考えます。
必要以上の水分をとり続けると、胃腸や腎臓は常に大量の水分を処理しなければなりません。
処理できなくなり、からだに余分な水分が溜まる(=水毒)とさまざまな不調が現れます。
例えば、
・むくみ
・頭重感
・めまい
・たちくらみ
・倦怠感
・胃腸の不調
・下痢
・食欲不振
・関節の痛み
・冷え
・雨の日の頭痛
などです。
「なんとなくからだが重い」
「朝からスッキリしない」
という方は、水分の摂りすぎが関係していることもあります。
また、からだが常に余分な水分の処理を続けている状態は、いわば休みなく働いている状態です。
その結果、
・疲れがとれない
・朝からだるい
・眠気が続く
・集中力が続かない
といった、自律神経のバランスの乱れに似た症状につながることもあります。
水を飲めば血液が増えるわけではない
「血液を増やすためにたくさん水を飲みましょう」
と言われることがあります。
しかし、水を飲んだからといって、そのまま血液になるわけではありません。
東洋医学では、血は食べ物から得た栄養をもとに作られると考えます。
つまり、血液の材料になるのは日々の食事です。
もちろん、脱水状態を防ぐための水分補給は重要ですが、
「水を飲めば血が増える」
という単純なものではありません。

梅雨時期は特に要注意!

東洋医学では、湿気はからだに大きな影響を与えると考えます。
特に梅雨や雨の多い時期は、空気中の湿度が高くなるため、からだの中の余分な水分も排出されにくくなります。
その結果、
・むくみ
・頭痛
・だるさ
・胃腸の不調
などの症状が出やすくなります。
もともと水毒傾向のある方は、この時期に不調が悪化しやすいのです。
1日にどれくらい水分を摂ればいいの?
東洋医学的な目安としては、

飲み物として摂る水分は500~1000mL程度
でも十分な方が少なくありません。
これに加え、食事からも水分を摂っています。
もちろん、
・真夏
・運動時
・発汗量が多い日
・屋外作業
などでは必要量は増えます。
大切なのは、「1日〇L飲む」ことではなく、自分のからだに合った量を摂ることです。
「飲むことを頑張る」だけでなく、「必要以上に飲んでいないか見直す」ことも大切です。

“水分”とは何を指す?
ここでいう水分とは、
・水
・白湯
などを基本とします。
一方で、
・コーヒー
・紅茶
・濃い緑茶
・エナジードリンク
など、カフェインを多く含む飲み物には利尿作用があります。
飲んだ水分がそのまま利用されるわけではなく、排出も促されるため、水分補給の中心として考えるのはおすすめできません。
普段コーヒーをよく飲む方は、別途水や白湯を意識して摂ることが大切です。

まとめ
水分も食べ物と同じく、摂れば摂るほど良いわけではありません。
必要以上に飲めば、その分だけ胃腸や腎臓は働かなければならず、処理能力を超えた水分は「水毒」となって体内に溜まりやすくなります。
不調を改善するためには、「足りないものを補う」だけでなく、「余分なものを減らす」という考え方も大切です。
水分も同様で、摂りすぎている場合は減らすことが養生になることがあります。
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