「コーヒーは健康に良い」
「いや、カフェインは体に悪い」
「コーヒーは体を冷やすから飲まないほうがいい」
コーヒーについて調べてみるとさまざまな情報があり、「結局どれが正解なの・・・?」と思ったことはありませんか?
実際のところ、コーヒーは一概に「良い」「悪い」と言い切れるものではありません。
東洋医学では、食べ物や飲み物を善悪で判断するのではなく、“今の自分の体質や体調にあっているか”を大切に考えます。
今回は、西洋医学や栄養学の視点も交えながら、東洋医学ではコーヒーをどのように考えているのかをご紹介します。
薬膳の観点からみるコーヒーの特徴
コーヒーは体を冷やすって本当?
『コーヒーは体を冷やす飲み物』だと聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
しかし、東洋医学の食養生である薬膳では、一般的なコーヒーは「温性」、つまりからだを温める性質を持つ飲み物だと考えられています。
「え!?アイスコーヒーを飲んでいるのに温めるの?」
と思うかもしれませんが、ここでいう「温める」「冷やす」は飲み物の温度ではなく、その食品がからだにどのような性質として働くかという意味です。
実は、コーヒー豆そのものは「寒性」と考えられています。

しかし、私たちが飲むコーヒーは豆が高温で焙煎されたものです。
薬膳では「火を加える」という調理法によって食材の性質が変化すると考えられており、焙煎によってコーヒーは温性へ変わるとされています。
もちろん、氷をたっぷり入れたアイスコーヒーを飲めば、物理的にからだを冷やします。
つまり、
「コーヒーそのものの性質(温性)」
と
「飲み方によるからだへの影響」
は分けて考えることが大切なのです。
「苦味」はからだにとって必要な味
東洋医学には、「五味(ごみ)」といって5つの味の分類があります。
五味とは、「酸・苦・甘・辛・鹹(塩)」のことをいいます。
それぞれが五臓(肝・心・脾・肺・腎)と深く関わっています。

コーヒーの特徴である「苦味」も、このうちの1つです。
「苦いもの=体に悪そう」というイメージを持たれることもありますが、東洋医学では適度な苦味はからだに必要な味とされています。
古くから「苦味健胃(くみけんい)」という言葉があるように、苦味には胃の働きを助ける作用があるとされています。
苦味を感じると唾液の分泌が促され、それに伴って胃液の分泌も活発になります。
その結果、食べ物の消化がスムーズになり、胃腸の働きを助けることにつながります。
また、腸のぜんどう運動も促されるため、お通じの改善につながることもあります。
そのため、食後の1杯のブラックコーヒーが「なんとなくスッキリする」と感じる人もいるのです。
苦いものが欲しくなるのはストレスのサイン?
「最近、ブラックコーヒーがおいしく感じる」
そんな経験はありませんか?
実は、苦味とストレスには興味深い関係があります。
私たちがストレスを受けると、唾液の中に含まれる、ある種のタンパク質が増えることが分かっています。
このタンパク質は、舌にある苦味を感じる受容体に結びつき、苦味を感じにくくすると考えられています。
つまり、ストレスが多い時ほど、普段は苦く感じるコーヒーやビールを『飲みやすい』と感じることがあるのです。
東洋医学では、「苦味」は五臓の「心(しん)」と関わる味とされています。
ここでいう「心」は、心臓だけでなく精神活動や感情、自律神経とも深く関係する働きを含みます。
適度な苦味は余分な熱を冷まし、気持ちを落ち着かせる働きがあると考えられています。
つまり、ストレスが続くと苦味を求めるのは、からだが無意識に心のバランスを整えようとしているサインなのかもしれません。
ただし、これは砂糖やミルクを加えないブラックコーヒーでの話です。
砂糖をたっぷり加えたコーヒーでは、苦味の作用よりも糖分による影響のほうが大きくなります。
また、どんなにからだに良いとされるものでも「摂りすぎ」は逆効果です。
東洋医学では、五味は不足しても摂りすぎてもからだのバランスを崩すと考えます。
コーヒーも、「からだに良いからたくさん飲む」のではなく、自分の体調や体質に合わせて適量を楽しむことが大切です。
コーヒーに関するQ&A

なぜカフェインを摂ると眠気が覚めるの?
「朝はコーヒーを飲まないと目が覚めない。」
「眠いときは、とりあえずコーヒー。」
そんな方も多いのではないでしょうか。
コーヒーを飲むと眠気が覚めるのは、カフェインが眠気の原因となる物質の働きをブロックしているためです。
私たちの脳では、活動している時間が長くなると、「アデノシン」という物質が少しずつ増えていきます。
アデノシンは、『もう頑張ったよ』『そろそろ休もう』とからだに伝えるブレーキのような役割を持っています。
脳のアデノシン受容体にアデノシンが結合すると、眠気や疲労感を感じるようになります。
一方、カフェインはアデノシンとよく似た形をしているため、アデノシンの代わりに受容体に結合します。
しかし、カフェインはアデノシンのような『休もう』という働きはありません。
そのため、眠気のサインが伝わりにくくなり、「眠くない」「まだ頑張れる」と感じるようになるのです。
さらに、アデノシンの働きが抑えられることで、ドパミンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質も活性化されます。
これにより、
・集中力が高まる
・注意力が上がる
・やる気が出る
・頭がすっきりする
といった変化が起こります。
そのため、仕事や勉強の前にコーヒーを飲む方も多いのです。
ただし、カフェインは眠気を“なくしている”のではなく、“感じにくくしている”だけです。
疲れそのものが回復しているわけではありません。
疲れている体に無理をさせてしまうこともあるため、『コーヒーを飲めば元気になる』と考えるのではなく、『一時的に脳を目覚めさせている』と理解しておくことが大切です。
コーヒーは酸性?アルカリ性?
「コーヒーは酸性だから体に悪い」
そんな話を聞いたことはありませんか?
実は、この疑問には2つの答えがあります。
まず、私たちが飲むコーヒーそのものは弱酸性です。
コーヒー豆には、クロロゲン酸やクエン酸、リンゴ酸などの有機酸が含まれており、これらがコーヒー特有の酸味や香りを生み出しています。
浅煎りのコーヒーで酸味を感じやすいのも、このためです。
また、コーヒーを淹れる水のpHや硬度によっても、苦味や酸味の感じ方は変わります。
一方で、栄養学では食品を「酸性食品」「アルカリ性食品」と分類しますが、これはそのもののpHではありません。
体内で代謝されたあと、最終的に残るミネラルの性質によって分類されます。
最終的にコーヒーにはカリウムが比較的多く含まれているため、栄養学ではアルカリ性食品に分類されています。
つまり、コーヒーは弱酸性の飲み物でありながら、栄養学ではアルカリ性食品という、一見不思議な特徴を持っています。

コーヒーは老化やストレス対策の味方?
コーヒーには、クロロゲン酸というポリフェノールが豊富に含まれています。
ポリフェノールと聞くと、「体に良さそう」というイメージがありますが、具体的にはどのような働きをしているのでしょうか。
私たちが食事をしたり、運動をしたり、呼吸をしたりするだけでも体内で活性酸素が作られます。
活性酸素は細菌やウイルスなどからからだを守るために必要な存在ですが、ストレスや睡眠不足、喫煙、紫外線などによって増えすぎると、細胞を傷つけ、老化やさまざまな炎症の原因になると考えられています。
クロロゲン酸には、この活性酸素の働きを抑える抗酸化作用があります。
そのため、細胞へのダメージを減らし、からだを守る働きが期待されています。
また近年では、クロロゲン酸が腸内の善玉菌のエサ(プレバイオティクス)としても働くことも注目されています。
善玉菌が増えることで、腸内環境が整いやすくなり、消化や吸収だけでなく、免疫や自律神経にも良い影響を与える可能性があると考えられています。
つまり、コーヒーはカフェインだけでなく、こうしたポリフェノールの面からみても私たちのからだにさまざまな影響を与えている飲み物なのです。
前編はここまでです😊
後編では、
・コーヒーと自律神経の関係
・コーヒーが合うかどうか、体質別解説
を詳しくお話していきます。
次回の更新をお楽しみに🎈

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