※この記事には前編があります▼▽▼▽
東洋医学的にコーヒーは良い?それとも悪?自律神経への影響は?<前編>|心と体の漢方 | 松山漢方相談薬局 [2026年08月12日]
コーヒーと自律神経の関係
ここまで紹介したように、コーヒーに含まれるカフェインには、眠気を感じにくくしたり、集中力を高めたりする働きがあります。

その背景には、自律神経の働きも大きく関わっています。
自律神経には、
・活動モードの「交感神経」
・リラックスモードの「副交感神経」
の2つがあり、このバランスを保つことでからだは正常に働いています。
カフェインを摂取すると、交感神経が優位になりやすくなります。
そのため、
・集中力や注意力が高まる
・眠気が覚める
・仕事や勉強の効率が上がる
といったメリットがあります。
一方で、交感神経が優位な状態が続くと、からだは「休む」よりも「動く・戦う」ことを優先するため、胃腸の働きは後回しになります。
その結果、
・胃酸の分泌が増え、胃がムカムカしたり痛くなったりする
・消化吸収の働きが低下する
・腸の動きが乱れ、便秘や下痢を繰り返しやすくなる
・血管が収縮し、肩こりや頭痛につながる
・寝つきが悪くなり、睡眠の質が低下する
など、さまざまな不調につながることがあります。
「朝はコーヒーを飲まないと動けない」
「午後も眠気覚ましに何杯も飲む」
という方は、実は疲れをとっているのではなく、疲れを感じにくくして頑張り続けている状態かもしれません。
東洋医学では、心とからだは切り離して考えません。
ストレスや睡眠不足、自律神経の乱れは、胃腸の働きや気・血・水のバランスにも影響し、不調の原因になると考えます。
つまり、コーヒーは「元気をくれる飲み物」というより、「いまある力を一時的に引き出す飲み物」です。
疲れているときは、コーヒーだけで乗り切ろうとするのではなく、「なぜ疲れているのか」「自律神経は乱れていないか」に目を向けることも大切です。
東洋医学では「体質」によって合う・合わないがある
「コーヒーは体に良いですか?」
東洋医学では、この質問に「はい」「いいえ」で答えることはできません。
なぜなら、その人の体質や体調によって、コーヒーが味方になることもあれば、負担になることもあるからです。
例えば、次のような体質の方は、飲み方に少し工夫が必要です。
陰虚(いんきょ)の人
陰虚とは、からだを潤す水分が不足し、からだに熱がこもりやすい状態をいいます。
・のどが渇く
・ほてりやすい
・寝汗をかく
・口や肌が乾燥しやすい
このような場合には、カフェインの利尿作用によってさらに水分を失い、陰虚を悪化させることがあります。
肝気が高ぶりやすい人
ストレスを溜め込みやすく、イライラしやすい、緊張しやすい人は、もともと交感神経が優位になりやすい傾向にあります。
そこへカフェインが加わることで、
・動悸
・ソワソワ落ち着かない
・イライラする
・寝つきが悪くなる
などが起こりやすくなります。
胃腸が弱い人
空腹時にコーヒーを飲むと、胃酸の分泌が促され、胃が荒れたり、胃もたれや胸やけを感じたりすることがあります。
胃腸が弱い人は、食後に飲む、薄めに作る、量を控えるなどの工夫がオススメです。
脾とコーヒーの話
コーヒーは適量であれば胃の働きを助けますが、飲みすぎや空腹時の摂取は、東洋医学でいう「脾」を傷つける原因となることがあります。
脾には、食べたものをエネルギーに変える大切な役割があります。
脾が弱ると、疲れやすい、食欲がない、むくみやすいなど、さまざまな不調につながるため、コーヒーも「体質に合わせて楽しむ」ことが大切です。
コーヒーと上手につきあうために
コーヒーを楽しむためには、「飲む・飲まない」ではなく、飲み方も大切です。
飲む時間帯
夕方以降や寝る前は、カフェインの覚醒作用によって寝つきが悪くなることがあります。
カフェインの作用は数時間続くため、睡眠が気になる方は午後遅い時間以降や控えるのがおすすめです。
どうしても飲みたい場合は、デカフェ(カフェインレス)やノンカフェインを選ぶのも一つの方法です。
※デカフェ(カフェインレス)はカフェインを90%以上除去したもの、ノンカフェインはカフェインを含まないものを指します。
ホット?アイス?

薬膳では、焙煎したコーヒーは温性と考えますが、氷をたっぷり入れたアイスコーヒーは物理的にからだを冷やします。
暑い季節でも、冷たい飲み物ばかりでは胃腸に負担をかけることがあります。
冷えやすい方や胃腸が弱い方は、ホットコーヒーや常温に近い温度で飲むほうがからだにやさしいでしょう。
ブラックがオススメ
今回紹介した苦味やクロロゲン酸の働きは、基本的にブラックコーヒーを前提としたお話です。
砂糖を多く加えると血糖値が急激に上がりやすくなるだけでなく、腸内では悪玉菌のエサにもなります。
また、人工甘味料入りのシロップやフレッシュも、摂りすぎには注意したいところです。
飲み過ぎないこと
健康な成人では、カフェインは1日400mg程度までが一つの目安とされています。
これはコーヒーにするとおよそ3~4杯程度です。
『体に良い』といわれる食品でも、摂りすぎれば体の負担になります。
東洋医学でも、「過ぎたるは及ばざるがごとし」という考え方を大切にしています。
さいごに
「コーヒーはからだに良いですか?悪いですか?」
この問いに、東洋医学では1つの正解はありません。
からだを温める性質があり、胃腸の働きを助け、抗酸化物質も豊富なコーヒーは、上手に取り入れれば心強い味方になります。
一方で、飲む量やタイミング、体質によっては、自律神経や胃腸に負担をかけてしまうこともあります。
東洋医学では、「食べ物そのものの善悪」よりも、「今の自分の体に合っているか」を大切にします。
これはコーヒーだけでなく、すべての食べ物や飲み物に共通する考え方です。
テレビやSNSでは、『○○は健康に良い』『△△は体に悪い』といった情報をよく目にします。
しかし、本当に大切なのは、その情報をそのまま信じることではなく、「今の自分の体はどう感じているのだろう?」と体の声に耳を傾けることです。
その日の体調や体質に合わせて選ぶことこそが、東洋医学が大切にしている養生の第一歩なのです。

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