こんな経験はありませんか?
お腹いっぱいなのにデザートは食べられる
仕事や家事の合間に甘いものが欲しくなる
「今日だけ」と思ってもついおやつに手が伸びる
甘いものをやめたいのにやめられない・・・
そんな自分を『意志が弱い』と責めてしまう人も少なくありません。
しかし、実は甘いものを欲する背景には、脳やからだの仕組みが関係していることがあります。
そして東洋医学では、さらにその奥にある「体質」や「からだのバランス」にも目を向けます。
「甘いものは別腹」は本当?

ここで「甘いもの=糖」と考えると、2種類に分けられます。
・ブドウ糖
・果糖
ブドウ糖は、
摂取→小腸から血中に取り込まれる→血糖値が上がる→血管を巡って全身のエネルギーになる(約8割が筋肉へ)
果糖は、
摂取→小腸から肝臓へ→ブドウ糖に変換されたり、肝臓で処理しきれないものは中性脂肪に変換されたりして貯蔵される
つまり、果糖は血糖値が上がりにくいため満腹感を感じにくく、ついつい食べすぎてしまうことがあります。
さらに、摂り過ぎた果糖は肝臓で処理され、中性脂肪として蓄積されやすいという特徴があります。
そのため、過剰な摂取が続くと脂肪肝の一因となることもあるとされています。
つまり、「血糖値が上がりにくい=たくさん食べても安心」というわけではないのです。
甘いものがやめられないのは脳のせい?

脳は、甘いものを“ご褒美”として記憶します。(脳の『報酬系』のシステムによる)
ストレスや疲れがたまると、脳は手軽に幸せを感じられる甘いものを求めやすくなります。
『糖質ゼロ』に要注意!
甘さ=成分表に書かれてある『砂糖』だけとは限りません。
手軽に買えるジュースやゼリーなどには、添加物として“果糖ブドウ糖液糖”や“ブドウ糖果糖液糖”などの『甘味料』が含まれていることが多いです。
『糖質ゼロ』を謳っていても甘味を感じれば、脳は「甘い」と認識します。
これにより、さらに甘さに慣れていきます。
そうすると、味覚が変わってしまうこともあるのです。
あなたは大丈夫?砂糖依存症とは
虫歯や肥満だけでない、砂糖の過剰摂取の恐ろしさ
一般的に、虫歯や肥満、糖尿病などさまざまな疾患につながりかねない、とのイメージは広まっているかと思います。
しかし、それだけでなく砂糖を大量摂取することが“砂糖依存症”に陥る可能性があるという怖さもあるのです。
そこらじゅうに使用されている“隠れた砂糖”の存在
『糖質制限』なんて言葉も話題になり、『糖質は悪』だというイメージを持つ方も少なくないかもしれません。
加工食品の裏を見ると、原材料や添加物の記載があります。
砂糖は、誰もがイメージするスイーツや和菓子だけでなく、実は調味料や惣菜、パン、清涼飲料水など身近な食品にも使用されていることが多いです。
そのため、気が付かないうちに砂糖を摂取していることを意識しなくてはなりません。

思春期の砂糖の過剰摂取が精神疾患発症の新たな要因のひとつに
研究によると、思春期の砂糖の過剰摂取は、成長後の脳機能に影響を与えることが分かりました。
また、砂糖の過剰摂取により脳の毛細血管ではグルコースの運搬がうまくいかず、脳がエネルギー不足に陥ることで行動異常など、神経細胞の障害につながっていると考えられています。
砂糖の過剰摂取により、糖代謝異常や炎症が起こり、血管レベルでのトラブルがあちこちで起こっているというわけです。
砂糖に“依存”してしまうのはなぜ?
砂糖依存症の研究から、砂糖水を与えられたマウスが砂糖水をより多く、かつ濃いものを欲していくということが分かっています。
始めは薄い砂糖水で満足できていても、慣れるとより濃いものを欲すようになり、刺激や満足感を得ようとするのです。
○○依存症という言葉がありますが、この○○に当てはまるのは危険な薬物やアルコールだけではありません。
砂糖もそのひとつなのです。
砂糖の大量摂取により、脳内ではオピオイドやドパミンなどのいわゆる“幸せホルモン”が放出されます。
それにより脳は砂糖を摂取することによる快感を覚え、「もっともっと」と欲してしまいます。
東洋医学で「なぜ甘いものが欲しくなるのか」を考える
西洋医学や栄養学では、血糖値や脳の報酬系などから、「甘いものが欲しくなる理由」を説明してきました。
一方、東洋医学では『なぜ甘いものを欲するからだの状態になっているのか』を考えます。
そこで、基本的な考え方となるのがからだ全体のバランスです。
その考え方の一つに、「五臓」があります。
東洋医学の基本「五臓」とは?

五臓とは、「肝・心・脾・肺・腎」の5つの働きを指し、西洋医学でいう臓器そのものではなく、それぞれが消化や吸収、血液の巡り、感情など、からだや心のさまざまな働きを支えるグループのようなものと考えます。
これらはお互いに影響し合いながらバランスを保っており、どこか一つが弱ると別の場所にも影響が現れると考えます。
そのため東洋医学では、「甘いものがやめられない」という悩みも、口や脳だけの問題ではなく、からだ全体の状態から考えていきます。
甘いものが欲しくなるのは「脾」からのサイン?

五臓の中でも、甘いものと深くかかわるのが「脾」です。
ここでいう脾は、一般的な脾臓とは異なり、胃腸を中心とした消化・吸収の働きを担っています。
食べたものをからだのエネルギーや栄養として、全身へ届ける大切な役割があります。
しかし、食生活の乱れやストレス、睡眠不足などによって脾の働きが弱ると、食べたものを十分にエネルギーに変えられず、からだは『もっとエネルギーが欲しい』と感じやすくなります。
その結果、手軽に食べられてすぐにエネルギーになりやすい甘いものを求めるようになると考えます。
また、必要な栄養素が不足している状態では、からだが『まだ足りない』と感じ続けるため、食欲が満たされにくくなることがあります。
「たくさん食べているのに、また甘いものが欲しくなる」という場合でも、実はからだに必要な栄養が十分に補えていないのかもしれません。
つまり、「甘いものがやめられない」のは意志の弱さではなく、からだが助けを求めているサインなのかもしれません。
「甘味=悪者」ではない?五臓の関係から考える「甘味」の役割
東洋医学には「五臓」のほかに、5つの味を分類した「五味(ごみ)」という考え方があります。
五味とは、「酸・苦・甘・辛・鹹(塩)」の5つの味のことで、それぞれ五臓と深い関わりがあります。
その中で「甘味」は脾と関係の深い味です。
「甘味は適量なら脾を養う。でも摂りすぎると脾を傷める」
適度な甘味は脾を養い、からだに必要なエネルギーを補う助けになると考えられています。
しかし、お菓子やジュースなどの精製された糖分を摂りすぎると、反対に脾へ負担をかけ、消化・吸収の働きを弱めてしまいます。
すると、
脾が弱る→甘いものが欲しくなる→甘いものを食べる→さらに脾が弱る
という悪循環に陥ることもあります。
東洋医学では、甘いものをただ「悪いもの」と考えるのではなく、『なぜ甘いものを欲するからだの状態になっているのか』を大切に考えます。
その背景には、食事の偏りや栄養不足だけでなく、ストレスや睡眠不足、自律神経の乱れなど、心とからだのバランスが関係していることも少なくありません。
こうしたひとつひとつを切り離して考えるのではなく、からだ・心・食事・生活習慣をひとつながりとして捉えます。
さいごに
甘いものをやめることだけが解決ではありません。
からだに必要な栄養をしっかり補い、からだが「もうじゅうぶん」と感じられる状態を目指すことも大切です。
からだは、必要のないものをただ欲しがっているわけではありません。
甘いものへの欲求も、心や自律神経、栄養状態、体質など、さまざまなサインが隠れていることがあります。
東洋医学では、そのサインを読み解き、からだ全体のバランスを整えることを大切にしています。

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