11月に入り、朝晩の冷え込みを感じる日が増えてきました。
「まだ真冬ではないから大丈夫」。そんなふうに思っていませんか?

布団に入っても、足先がなかなか温まらない。ふと触れたお腹が、ひんやりしている。夕方になると脚がむくんで、靴がきつく感じる。もし心当たりがあれば、それは身体が出している「冷えのはじまり」のサインかもしれません。

立冬を迎える11月上旬は、本格的な寒さの手前にある、冷えに備える大切な時期です。身体が冷え切る前に、今から少しずつ「冷えにくい身体づくり」を始めてみませんか。

1.気温が下がると、身体の中で起こること

11月は、日中の暖かさと朝晩の冷え込みの差が大きい時期です。気温が下がると、私たちの身体は熱を逃がさないよう、手足の血管を収縮させます。大切な内臓の温度を守るための、自然な体温調節の働きです。この調節は、気温の変化に合わせて、休む間もなく続いています。

そのため、心臓から遠い手足の先には血液が届きにくく、冷えを感じやすくなります。寒さが続いて血管の縮んだ状態が長引けば、なおさらです。これが、秋から冬にかけて手足の冷えを実感しやすくなる理由の一つです。

さらに、寒さで筋肉がこわばったり、動く機会が減ったり、長時間同じ姿勢で過ごしたりすると、血流はいっそう滞りがちになります。特にふくらはぎは、縮んだりゆるんだりを繰り返すことで、脚に溜まった血液や水分を心臓へ押し戻すポンプの役割を担っています。この働きが十分に機能しないと、脚に余分な水分がたまりやすくなり、夕方の脚の重だるさやむくみにつながることがあります。

つまり、冷えとむくみは別々の不調ではなく、血液と水分の「巡りの低下」という一つの流れでつながっています。

2.東洋医学で見る「冷え」と「むくみ」

東洋医学では、身体を「気・血・水(き・けつ・すい)」の3つの要素で考えます。このうち、冷えとむくみに深く関わるのが「血」と「水」、そしてそれを支える「脾(ひ)」です。

まずは手足の冷え。「血」は、身体に栄養を届け、温める役割を持つと考えます。この血が不足していたり(血虚)、滞っていたり(瘀血)すると、手足の先まで温もりが届きません。東洋医学では、手足の冷えを、身体を温める「血」が末端まで巡っていない状態と捉えます。

次に、お腹とむくみの関係です。「脾」は、臓器の脾臓ではなく、胃腸を中心とした消化吸収の働きを指します。食べたものから「気」や「血」のもとをつくり、水分の代謝も担っています。脾は冷えが苦手で、お腹が冷えると働きが弱まります。すると、余分な水分(湿)をうまく巡らせることができず、溜まってむくみにつながると考えられています。お腹の冷えは、お通じの乱れとして現れることもあります。

手足の冷えは「血」の巡り、むくみは「脾」と「水」の働き。入り口は違っても、東洋医学では、冷えとむくみを「巡りの滞り」というひとつながりで捉えます。だからこそ、手足だけを温めるのではなく、お腹(内側)を温めて水の巡りを整えることが、冷えとむくみにやさしく向き合う大切なポイントになります。

3.今日からできる、温める養生法

冷え対策は、熱を逃がさないよう「外から守る」ことと、自分で温まる力を「内側から養う」ことの、両方が大切です。

①【食】お腹を内側から温める

11月は、長ねぎや鮭がおいしくなり、かぼちゃも甘みが増して食べ頃を迎える季節です。東洋医学では、これらはどれも身体を温める食材とされています。生姜もそのひとつで、汁物などに少し加えるだけで取り入れやすい食材です。ただし、辛みが強く、胃腸に負担がかかることもあるため、少量から試してみましょう。

おすすめの食べ方は、「温かく、火を通して」。長ねぎは味噌汁や鍋に、鮭は焼き魚や鮭汁に、かぼちゃは煮物やスープに。生姜は、そこに少し添えて。冷たいままではなく、湯気の立つ一品として、朝や夕食に取り入れてみてください。
冷たい飲み物は、少しずつ温かいものに置き換えていきましょう。

②【衣】足首・手首とお腹を守る

手首や足首は、皮膚の近くを太い血管が通っていて、冷えを感じやすい場所です。ここを守ると、熱が逃げにくくなり、全身が温まりやすくなります。手首は、長めの袖や薄手のリストウォーマーで、冷やさない工夫を。
足首の内側には、冷えやむくみのケアによく使われるツボ「三陰交(さんいんこう)」(内くるぶしの真上、指4本分上)があります。靴下やレッグウォーマーで、このあたりを冷気から守りましょう。

そして、お腹には腹巻きを。薄手のものを肌着の上から着けるだけでも、内側がじんわり温まります。カイロを使うなら、おへその下あたりに衣類の上から。低温やけどには気をつけてください。

③【動】ふくらはぎを動かし「水」を巡らせる

ふくらはぎは、「第二の心臓」とも呼ばれる大切な筋肉。動かすことで、脚にたまりがちな血液や水分の巡りを助けてくれます。さらに、筋肉は熱を生み出す場所でもあります。日常の中で意識して動かすことが、身体の内側から温める助けとなり、冷えやむくみの予防にもつながります。

おすすめは、かかとの上げ下げ。立ったままでも、椅子に座ったままでも大丈夫です。10回ほどを目安に、デスクワークや家事の合間、歯みがき中、テレビや動画を見ながらなど、ちょっとした時間に取り入れてみましょう。

そして夜は、40度前後の心地よい温度のお湯に、10〜15分ほど。シャワーだけで済ませず、湯船に浸かると、温かさと水圧が脚の巡りを後押ししてくれます。

4.おわりに

冷えやむくみは、身体が「温めてほしい」と伝えているサインかもしれません。

今日の味噌汁に生姜を少し加えてみる。手首と足首を冷やさない。仕事や家事の合間に、ふくらはぎを動かしてみる。そんな毎日の小さな工夫が、身体を温める助けになってくれるはずです。

気持ちよく続けられそうなことを、無理のない範囲で、今日から少しずつ重ねていきましょう。その積み重ねが、冬を心地よく迎える備えになっていきます。

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